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Selfishly

Selfishly

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(注!!)このお話は、18禁となります。
     暗くて、ロイ鬼畜でエロしかない話になりますので、
     お読みになる方は、それでも構わないと言う方のみ
     お願い致します。
     読まれてからの文句は、なしでお願い致します。
     それでもOKな方のみ、下にスクロールして下さいませ。
     


































『忘却の蜜 』




甘い甘露は人の理性を狂わせていく。
いけない事だと、手を出しては駄目だと理性は訴えるのに、
一度味を知ってしまえば、それに駆け寄りもぎ取ろうとする本能を
抑えることが出来なくなる。
堕落と怠惰の始まりは、誘惑の甘露の実を手にしたことが発端で、
後は坂を転がるように、人の弱い心を蝕んでいく。

純度の高い、滴る蜜を口にすれば、全てを飲み干し喰らい尽くすまで
飢えは治まらない。
そして、それが一度、二度と続けていくうちに、人は二度と這い上がれない
闇の底にまで沈みこんでいく・・・この世の至福を抱きながら。


ロイの隠し持つ木箱から、3本目の小瓶が姿を消したのは、
然程、前回から月日は空いていなかった。
一度限りと使った筈の薬を2度目に取り出したのは、小さな嫉妬が引き金だった。
それでもその時には、ロイのエドワードを思う心が勝り、
己の行動を諫める良心も存在を示していたのに・・・。

2度目から3度目になる時には、心の中に在った筈の良心よりも、理性よりも、
獲物を追い狙うハイエナの如く、日々、虎視眈々と機会を伺う自分がいることに、
麻痺し始めた感覚の中で、浅ましい我欲を蔑みながらも感じていた。



『麻薬患者のようだな・・・』

自分の組み敷いている相手に感じ入りながら、荒い息を吐き出しながら、
ロイはそんな事を思い浮かべている。
一度よりも2度、そして3度と行為の回数が増えていくたびに、
その間の周期が短くなってくる。
今では、この身体を味わえなくなる日が来ることなど、
怖くて考える事も出来ない程だ。

どこで狂って行ったのか・・・。
最初は本当に1夜限りだと誓って、卑怯な手段だとは思いながらも
非合法のルートから薬を手に入れた。
そう・・・その時には、本当に一度限りだと・・・。
幼少の頃から悲運に生きてきたエドワードが、漸く掴み始めた幸せを
壊すつもりなど毛頭なかった。
彼の半生から、人並みの幸せを手に出来たのは、
本当に神の気まぐれにも近い僥倖だ。
そして、そこに至るまでの彼ら兄弟の道は、非難、悲惨のの言葉だけでは
語りつくせない非業の凝縮の道のりだった。
だから、失う事になると判っていても、ロイはエドワードの選んだ道を
塞ぐことは出来なかった。
だが、そうかと物分り良く下がるには、彼への愛情は深くなり過ぎてもいた。
だから、彼の身体を手に入れたのだ。
心にも、未来にも刻み込めないのなら、今の彼自身に刻む他、
自分の想いを昇華する方法が見つからなかったから・・・。

なのに、どこで・・・。

「あっ・・・あ ロ・・イ、もっとぉ・・・」

互いに先ほどまで、必死に高みへと駆け上がる行為をしていたと言うのに、
エドワードは次を強請るように、ロイへと体中で誘いかけてくる。

「くっ・・・」

ロイはまだ引き抜いていない己の分身を締め付けられて、喉からせり上がりそうな快感の波を
耐え、やり過ごす。

エドワードは本当の意味でも天才だった。
ロイが教える僅かな房事の回数からも着実に学び、自分のものとしていっている。
2度目に教え込んだ、相手の名を呼んで強請る方法も、
効果的にロイを煽る手段にしている。

「少し休ませて貰えないかな? 
 君の貪欲な要望に応えていると、私の方が音を上げそうだよ」

言葉とは裏腹な喜びを湛えて、ロイは焦らすようにゆっくりと腰を揺する。
それだけの緩慢な動きにも、薬の効果が効いているエドワードには感じ入るのか、
ピクリと反応を返して、咥え込んでいるロイを離さないぞとばかりに
締め付けを強くしてくるのだ。
ロイはエドワードの素直な様子に、口元に微笑を湛えて、
上気した頬を撫でてやる。

エドワードはうっとりとした、快感に濡れた瞳を細めて、
嬉しそうに微笑んで見つめ返してくる。
そして、ゆっくりと自分の両腕を持ち上げて、誘うようにロイの肩に巻きつけては、
薄く唇を開いて、誘惑するのだ。

「ねぇ? ロォイ?」と、甘く官能的な掠れた声で。

自分を瞳に映して、甘く優しげに自分の名を呼ぶ。
・・・どうしてこれで、意識が無い等と思えるだろう。
今確かにエドワードは、自分に呼びかけている筈だ。
そんな錯覚が、ロイを襲うと言うのに・・・。

そうなると、優越に浸りながら焦らしていたロイの忍耐も、
あっさりと箍がはずれ、辛抱足らない子供のように齧り付いてしまう。
激しくなる口付けを仕掛けていくうちに、夢中になっているのはいつの間にか
ロイの方だ。
先ほどまで、微かにも「どうして・・・」と浮かんでいた罪悪感も、
こうなればボロ雑巾のように打ち捨てられ、誰にも、持ち主にさえ省みられる事も無い。

短い限られた時間の逢瀬は、密度を濃くする事で補おうと言うのか、
休む間もなく、次々とエドワードの快感のスイッチを押し続けていく。
狂ったように頭を打ち振り、髪を乱す姿に喜びを見つけ、
続けざまに上がる歓喜の啼き声に、興奮がいや増され、
快感の音楽を弾き続ける身体に、ロイは溺れ、浸り込んでしまう。


上気し色付く肢体の中で、唯一ロイが印を付けれる場所。
胸の突起を執拗に攻め上げる。
白い身体のどこにも、ロイが印を付けれる場所は無い。
どれほど内側を奥深く抉ったとしても、表面には何一つ刻めない。
それが二人の関係を顕してもいるのだと、頭ではなく本能で理解をしているのか、
ロイは色付いた果実を弄るときには、執拗になってしまうのだ。

チュクチュクと濡れた音が洩れるたびに、エドワードの背筋が跳ねる。
ロイは歯で優しく摘んだ果実は、すっかりと芯が堅くなっていて、
転がすように歯で齧ってやれば、抑え切れない嬌声がエドワードの口から飛び出していく。

「あっっう! ああーっ いっいぃー」

堪えきれないように、ロイの頭を掻き乱して抱きかかえるエドワードの痴態を
ロイは焦がれる瞳で見続ける。
今このエドワードを、快感の波に襲わせて喜ばせ、のた打たせているのは、
間違いなくロイ自身なのだ。
理性を消され残ったのは、快感に従順なエドワードの欲望。
その欲望を満足させるだけの経験を、自分が積んでいたことには
過去の女性達に感謝したい気持ちになる。
時間がくれば、御伽噺のように消えうせる刻ではあるが、
今だけは、・・・彼を喜ばせ、啼かせているのは、間違いなく自分自身なのだ。

その喜びこそが、ロイを虜にしている事実だと、ロイ自身気づいていることなのかどうか・・・。






「はぁー」

時間外れの比較的に空いている軍の食堂で、エドワードは頼んだ料理に手を付けるわけでもなく、
窓際から見える風景を眺めながら、無意識のため息を付いていた。

「よぉ、大将。 どうしたんだよ、えらく悩ましそうだけど」

ニヤニヤと笑いながら声をかけてきたのは、軍属の頃から付き合いの長い
ハボック少佐だった。

「悩ましそう?」

ハボックの言葉の意味不明さに、エドワードは訝しそうな瞳を向けて、
自分の前に座る相手を見返す。

「おう! 何だか色っぽいため息なんか付いちゃってさ。
 いいよなぁ~、可愛い婚約者のいる奴はよぉ」

ニシシシと垂れ気味の目を、さらに半月目にして笑う相手に、
エドワードは呆れの混じったため息を追加した。

「いいよなぁ、少佐はさ・・・、いつも元気そうで」

「どう言う意味だよ、そりゃー。
 ってか、大将は元気じゃないってのか?」

エドワードの微量に込めた嫌味に憤慨する真似を見せるが、
いつもと反応の違うエドワードの様子に、心配そうな気配を窺わせてくる。

「元気じゃない・・って程でもないけどさ。
 最近、ちょっと身体がだるいと言うか、辛いときがある・・から」

ふぅーと小さな吐息を付きながら、何とか持ってきた食事をしようと、
エドワードが俯いて、スプーンを持ち上げる。
俯いた仕草に、束ねていた髪からサラリとほつれ毛が頬に陰を作り、
億劫そうに持ち上げたスプーンを、紅く色づいた唇が銜えこむ。
そんな唯の動作に、ハボックは目が離せなくて、知らずの内に
ゴクリと唾を飲み込んで見つめている。

「なに?」

食事の最中に、いきなり止まったハボックを不思議に思って、
エドワードが問いかけると。

「いっいや、べ、別に何でもない・・ぜ。
 そ、そのぉ調子悪いんなら、早め医者とかに見てもらえよな・・・」

慌てたように、口早にそんな事を告げてくる相手に、エドワードは疑問に思いつつも、
深く追求をする事もなく、「うん」と返事を返して食事を続けていく。

『ビ、ビックリした・・・』

目の前で、大人しく食事をしている青年を、こっそりと横目で盗見ながら、
ハボックは内心の動揺を出さないように注意しながら、自分も食事を続けていく。

『なんか大将、妙に色っぽくなっちゃって・・・。
 やっぱ、彼女とか出来ると男も変わるんだよなぁ』

子供だ子供だと思っていたエドワードも、とうとう自分を追い越して
大人になって行くわけだから、印象が変わっていくのも当然なのだろう。

『けど・・・、ゾクリとしたぜ・・・』

体調が良くないせいか、物憂げな動作が妙にいけない妄想を浮かばせてしまい、
そんな誤った考えを振り払うかのように、小さく頭を振って、
取りあえず思考を切り替えるべく、ハボックは目の前の食事に集中する。
それでも、時折チラリと視線がエドワードの唇に行くのは、誰にも内緒だ。


食事後ハボックとは別れて資料室へと足を運んだエドワードは、
人気の無いのを幸いと、窓際にあった椅子に座って、ぼんやりと意識を泳がせる。

『確かに体調が悪いのも、間違いじゃないんだけどな・・・』

が、エドワードの意識を散漫にさせているのは、実はそれだけではない。
身体の方は、数回あった時を考えると、2,3日もすれば、
不調を訴えてたのも忘れていたように、何事もなくなる。
が、身体の芯にはもどかしいような感覚が、ずっと残っている気がして仕方が無いのだ。
不快感・・・と言うのとは、少し違う気がする、妙なもどかしさ。
まるで意識のない自分とは別に、身体が記憶していると言うように、
エドワードの中で、燻るように蠢いている感覚。
特に恥ずかしいのが、部屋で一人で寝ていた翌朝だ。
全く覚えてもいない夢なのに、自分が・・・そのぉ、妙に気持ちの良い思いを
してしまっていて、切羽詰った状態になっているのも数回。
男性の生理現象だとは判ってはいても、もともと希薄だったため、
そこまで必要に差し迫られた事もないと言うのに・・・。
ハボック少佐あたりに相談すれば、「欲求不満だろ、それって」と
大笑いされることだろう。

『今まで、そんな事なかったのになぁ・・・』

恋愛経験の無いエドワードでは、自分の身体を持て余す感覚等、
知っていなくても仕方が無いのだろう。



「でさぁ、妙に色っぽいため息なんか付いちゃってよ。
 ああ、もう子供じゃないんだよなぁーとかしみじみ思ったんだぜ」

仕事の合間の息抜きとばかりに、ハボックを中心に集まった馴染みのメンバー達は、
先ほどから、頭をつき合わすようにしては、男性特有の邪な会話をヒソヒソと話しては
意味深そうな笑みを浮かべあっている。
一応でもヒソヒソしているのは、当然職務中だからでもあるし、
今は不在の紅一点の存在を恐れ・・いや、気遣っての事でもある。

「あのエドワードさんでも、やっぱりそんな時があるんですよねぇ。
 何だか、いつもの雰囲気からは想像つかないですけど」

「でもエドの奴も、もう子供じゃないからな。 
 なんせ俺たちの中で、一番早く結婚しそうなんだから」

「そうなんだよなぁ、大将に先を越されるとは・・・くぅー」

ハボックの悔しさは、エドワードの幸せを喜ぶ気持ちとは関係なく、
先を越された面々の矜持の所為だ。

「けど・・・よ」と、更に低い声で囁けば、聞いていたメンバーも
更に頭を寄せて聞き取ろうとしてくる。

「婚約者の女性さ。 大人し気な、控えめな感じだったのに、
 意外にソッチ方面では、凄いのかもな」
 
クックックと、厭らしそうな笑いを小さく上げて呟くと、
周囲も、同様の表情を浮かべてみせる。

「昼は淑女で夜は娼婦・・ですか?
 まぁ、男の理想って言えば理想ですな」

「あの元気坊やを疲れさすくらいだ、なかなか好きそうだな」

「まぁ良い事だぜ、仲が良いってのはな。 悔しいけど」

「違いない」

皆が漸く好奇心を満足させたのか、明るい笑い声がこの話の打ち切りを知らせ、
それぞれ持ち場に戻っては、忙しなく仕事を再開していく。

ロイはと言うと、その話には当然上官の立場として参加せず、
淹れて貰ったコーヒーを片手に、出来上がった資料を流し見しながら、
部屋で皆のそんな会話を耳にしていた。
不健全な会話の先は、健全な発想に流れるのは当然の結果だろう。
誰もまさか・・・その先の事など考える事もない。

ロイはチェックが終わった資料を、不在のホークアイの席に置くと、
隣室の自分の執務室に戻る。

部屋に戻って思った事と言えば、エドワードを変えて行ってるのが
自分であるという仄かな喜びと、妙なイメージを持たれてしまった、
エドワードの婚約者への僅かばかりの後ろめたさ。
そして、最大の関心は次で得れる逢瀬のチャンスだろう。

そんな事を頭に浮かべるようになってしまっている自分は、
もう引き戻れない処まで沈み込んでしまっているのだろう。
罪悪も、後悔も、良心や理性も、今では全て背徳感の愉悦に
染まってしまっているようなのだから・・・。


「戻りました」

ロイの思考を遮るように、エドワードが室内に入ってくる。
彼はノックをして入ってくる習慣が、なかなか付かない。
意識をしっかりとしている時は大分とマシになったのだが、
逸れているときには、昔のままの入室をしてやってくる。

「ああ、ありがとう。 そちらで、目を通し始めてくれ。
 そこに置いてあるのが、関連書類の資料一式だそうだ」

向かいのソファーに山積みされている物は、他の者ならうんざりする量だろうが、
エドワードにかかれば、1時間ほどもあれば把握できる程度だろう。

「わかった。 何か用があったら、呼んでくれよな」

それだけ告げると、ソファーに座って資料に没頭し始める。
こうなると、ちょっとやそっとでは反応しなくなるのを
自分でも理解しているから、声をかけてくれではなく、呼んでくれと
告げてくるのだ。

ロイは、座り込んで資料を読み始めたエドワードを眺める。
小柄な体型を隠すように、厚い軍服が覆っている。
軍服の重さをものともしない俊敏な動きは、彼の強靭な鍛え上げられた体があってこそだ。
彼の筋肉は強張ってなどおらずに、しなやかで柔軟な筋肉が付いている。
ロイは暫くの間、エドワードの身体が示す動きを思い浮かべた後、
読み終わった後のエドワードに怒鳴られないように、自分の担当の仕事を始める事にした。

黙々と仕事をこなす二人の間に、暫くの時が過ぎていく。
ロイは終わり近くなった新しい資料を手に、目の前の相手に視線を向ける。

「さて、どうしたものか・・・」

ロイの手元の資料はエドワードが作成したものだ。
これには、関連の資料を別途添付と記載されているが、
机の上には見当たらない。
となると、エドワードが別に保管している可能性が高いのだが。

エドワードはと見ると、渡された資料が3分の1程に減っている。
が、彼が読み終わるまで待っているわけにもいかないだろう。
ロイは仕方ないかと思い切り、エドワードに声をかける。
昔ほどではないが、ああいうエドワードを呼び戻すのは
なかなか面倒な事なのだ。

「鋼の。 エルリック少佐! はーがーねの!!」

数度呼び声を上げて効果がないとわかると、ロイは大きなため息を付いて、
席から立ち上がり、エドワードの方へと回り込んでいく。

手っ取り早いのは、本を取り上げてしまう事だ。
ロイは行動しようと伸ばした手を、ふと止めて、本ではなく肩へと置く。

「はが・・・。 エドワード」

そう呼びかけてしまったのは、唯の気まぐれだったのだ。
二人が共有しているあの時間以外で、呼ぶことのない、彼のファーストネーム。
どうせ、気づかれないのならと、そんなちょっとした気まぐれ。

なのに・・・。

「なに、ロイ?」

エドワードはそんな返事を返しながら、ロイを見上げてくる。
エドワードの思わぬ反応に、ロイの方が茫然となって固まってしまう。
そんなロイの視線の中、エドワードは不思議そうに2.3度目を瞬かせると、
怪訝そうに問いかけてくる。

「准将? あれ? 俺のこと、呼んだ?」

状況を把握しようとしているのか、エドワードは手元の資料と、
周囲や、ロイの様子を検分するように視線を廻らせている。

「い・・や、君の提出した資料の別紙についてなんだが・・・」

「別紙・・・。 ああっ、あれか!
 書き足す事があったんで、俺の席に戻してたんだった。
 すぐ取ってくるから、待ってて貰えるか?」

そう告げると、慌てたように執務室を出て行った。
ロイはそんなエドワードが呟いた、先ほどの言葉を反芻していた。
エドワードは自分を『ロイ』と呼んでいた。
本人は意識が戻っては居なかったようだが、意識化の底では
エドワードは自分の事をロイとして認識しているのだろうか・・・。

ならば、秘めた時間の中にも意味はあるという事なのだろうか・・・。
ロイは期待に逸る感情に、酷く心を揺さぶらされるのを感じていた。



甘い毒が滴る甘露の実。
食せば戻れぬと判っていても、手を出すのが人。
罪は蜜のように身体に甘く人を冒していく・・・。





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